2012年10月21日日曜日

事故再発防止のため分析法


 事故が起こると、再発防止のためにいろいろなことを考えて対応しますが、そのときに必要な分析法にはいろいろあります。

 よくされるのは、事故を分析し、こうすれば事故の再発は防げると対策をたてて教育や指導をすることです。これを表分析と名付けます。これには弱点があるといわれています。それは想定漏れが出てくること。対策として、見直しが適切であったかを繰り返し確認をして、漏れを防ぐのですが、実際にはされていないことが多いようです。筆者がその後の処置をお聞きするとやりっぱなし、ほりっ放しになっている。事故が再発していないからいいという判断があるのかもしれません。たまたま再発事故が起こっていないだけかも知れないとしたら怖いことです。 

 逆にもしoooが起こるとしたらどんな場合かと考えていく方法があります。これを裏分析とします。
 例えば、何でもいいのですが、まずはあってはならない事故あるいは近々に起こった事故やクレームを選び、作業のプロセスを抜けがないように徹底して調べます。できればプロセスのフロー図を描きます。その上に、過去の失敗例やヒヤリハットなどからどんなトラブルがあったか、またありうるか、考えられるかなどを現場の経験・知見を入れて書き入れていく、そして重要な想定されるトラブルから対策を立てていく・・というやり方であります。これの良いところは、最初に考えられることを出来る限り出していくので、漏れがないようにできるということです。しかし、対応策は大事なことを重点的に実施するのです。これで、想定外の事故を少なくすることができます。

表分析と裏分析。両方から考える方がいいと思います。

 他社の事例、自社の事例、さらにヒヤリハットの解析などから、事故に繋がるような基本的な問題点(失敗の筋書き)を見出す力をつけることが肝要です。

 検証のための使えるデータを蓄え、チェック出来るような人材を育成するには時間と費用がかかりますが必ず組織にとって力となってくるでしょう。

エピソード:日本の自動車業界がなぜ強いか? 
 代表するメーカーであるトヨタ自動車では、チーフエンジニアという資格の方がおられるそうだ。その数はわずか20人足らずとか。この人たちは現場で深く広く研究した知識や経験を駆使して車つくりの取り纏め役として活躍されている。数十年の成功と失敗データの蓄積と解析、利用が今のトヨタ自動車の安全と信頼つまりブランド力を支えているのだろう。成功のために失敗に学ぶことも大事であると思う。

        事故の再発防止の研究を進める ㈱アール・エム・アイ  江嵜為丸

2012年10月20日土曜日

事故の再発防止の目的はなにか


  事故を起こすと、その結果有形な損害つまり金銭的な損害が出ますが、それだけでは済まず、無形の損失、特に信用や親近性を損なうことになります。そして、前者に対するより後者の方が、永く企業・組織にマイナスをもたらすことになることが多いのです。従って、事故の再発防止は単に金銭的な損害を減らすということだけが目的ではないことが分かります。

 事故の再発防止の目的は、顧客、従業員、委託先など企業を取りまく利害関係者(ステークホルダー)の満足を勝ちとることにより、信頼される企業・組織をつくることにあります。

 CSR(企業の社会的責任)の一つに、安全と品質の保証があるとするなら、事故の再発防止はこの責任対応ということになります。この事をしっかり認識しておく必要がありますね。

 事故の再発防止対策は、トップが方針をきちんと出し、そして現場では具体的な対応を鋭意するのでないとうまくいかないでしょう。また、現場からは失敗情報がきちんとアップされることが必要ですね。

         事故の再発防止の研究を進める ㈱アール・エム・アイ 江嵜為丸