2012年11月13日火曜日

ハインリッヒの法則


皆様(特に、生産現場の方)はハインリッヒの法則をよく御存知だと思います。

  1件の重大事故の陰には、29件の軽事故があり、さらにその陰には300件の赤チン災害(ヒヤリハット)があるというもの。(関連した研究には、バードの法則、タイ・ピアソンの結果などがある)

 私が合繊製造会社の製造現場で働いていた時、労働安全の先生が来られ、初めてこの法則を教えて頂いた。当時小さな事故が多かったのでそれを減少することで中程度、さらには大きな事故を防ぐことが出来ると教えられ、「赤チン災害の撲滅」というスローガンを掲げて活動しました。若い人は赤チンといっても死語になっているかも知れませんが、私の世代では、ちょっとした怪我には赤チンをぬったものです。今はヒヤリハットといわれているようです。

 ところが、最近になって、このヒヤリハット数が見かけ?減少しているにも関わらず、重大事故が起きるということがあって、一体どうしてだろうと考えてしまいました。
 そして、気づいたことがあります。その一つはヒヤリハット活動のマニュアル化が行き過ぎてすこし形骸化しているのではないかということ。もう一つは、大きな事故は、小さい事故が重なったときに起きると私は考えていますが、そういう考え方への対応がなされていないのではないかということ。

 ヒヤリハット活動がマニュアル的にされることは有用ですが、ともすればそれだけで十分という気持ちになり、結果として事故に関する感性が衰え、危険を見落としていく恐れがあります。

 乱暴なことを言えば、いくらヒヤリハットが多くても、無関係な状況にあれば、大きな事故にはならないでしょう。大事なことは、ヒヤリハット的な事象の発生に根本的な問題が内在していないか、またこれらが悪い方に重なることはないか(事故が発生するとすればどんな時なのか)を考えるほうだと思います。

 そして、そこに発生したヒヤリハット(小事故やトラブル、他社事例なも)を入れていくと、まだ幸いにも起こらずにすんでいる事故(将来起こるかもしれない潜在的な事故)を推測できる可能性があると考えます。

          リスクマネジメントを研究する ㈱アール・エム・アイ  江嵜為丸

2012年11月6日火曜日

効果的な学習法を考える


  色々な研修会や講演会がありますが、正直言って一番利益を受けるのは、参加者というより、講演者だとおもいます。話をしていると、脳が活性化して頭の中が熱くなってくるのでわかります。

 講演者は講演のためそれなりに勉強し、自分の考えをそこに入れて纏めていかねばならないので、脳が活性化する上、話し方の訓練が出来る、若干なりとも知名度があがる、喜んでもらえる、場合によっては謝礼も頂けるなどいいことが付いてきます。

 反対に聞くだけの場合は、重要なヒントをうることもありますが、それほどのことがないこともあります。そしてしばらくすると忘れてしまいます。座学で学習する場合には、何とかして質問の項目を探すようにするしかないと思います。それゆえ、有効な学習の仕方としては、講演者になるように頑張るのがよいと考えています。

 最近の研修では、座学だけでは効果的でないと考えて、討議の機会を増やす傾向にあります。当社でも、ISOの内部監査員研修会をする場合などでは、出来るだけ実技や討議などの時間を多くして、発言してもらう機会を増やすようにしています。そのため参加者も余り増やさない工夫もしています。

 具体的な社員教育の例として、次の様なことをすればいい結果が得られるだろうと考えました。学習の仕方を二つに分けてみました。

インプット型学習・・・・本、ネット、講演会などで学ぶ、詰め込み式知識教育。
              マニュアル頼り、言われないとやらない(やれない)
              自分で考えない場合、脳が十分活性化しないことも。
              (迷惑にならないようにするほうに気配り、和を重視)

アウトプット型学習・・・研究し、自分の仮説として発表する。結果などを自己検証す
              る。脳が活性化し、熱くなる。(自主性を重視)

討議や実技演習を重視するのはこの中間にあるとします。
 「事故の再発をどう防止するか」ということで教育するとします。その為の進め方の例として私は次のような項目を準備していくのが良いだろうと考えています。

① 役割を与える・・担当者にリードさせる。注意するだけではない。
  自分の考える対策、社会への影響などについて発表させる。

② あれこれとうるさく指示しない・・自主参加させる。
  今やるべきことはなにかなど、個人の考えを発表させ、逆に教えてもらう。
  共同して議論して纏める。

③ ツールを活用する・・たとえば事故防止のためのツールを皆で考える。
  失敗の伝承法として、事故事例の見本、写真などの展示で事故の教訓を
  共有化する。疑似体験させる。感想を語らせる。
  「おかしい?何か変だ?あぶない?」を感じる直観力を育成させる。

④ 褒める・・表彰制度を強化する。成績に反映させる。

 ご参考まで。
                         ㈱アール・エム・アイ  江嵜 為丸