2011年5月4日水曜日

津波警告の碑石

今回の大震災は[1000年に一度]と言う人もいる。また、「想定外」という人もいる。不謹慎かもしれないが今年の流行語大賞に選ばれるかもしれないと思う。

畑中洋太郎著「失敗学事件簿」には、東北の地震に学ぶ教訓と言う記事があった。(2003年5月26日に震度6弱の地震が襲ったことに関するもの)

畑中氏は約40年前、大学3年の夏休みに工場実習で釜石に出かけ、日曜日に海水浴のため、隣村の唐丹(とうに。宮古市姉吉)という所にでかけた。海岸よりはるか高いところにある碑石を見て肝を潰したそうだ。碑石には[ここまで津波が来て皆死んだ。ここより下には家を建てるな」と書かれていた。

「1896年明治三陸大津波では最高38mもの津波が押し寄せ2万2千人以上の人が死んだ。このような大惨事の言い伝えや警告にもかかわらず、あちこちの入江で海岸近くまで人家が下がってきている。こうしてまたいつの日か大災害が起こり得るのだ。」と畑中氏は述べている。

これを読めば、「1000年に一度」とか、「想定外」とか言うことは決して言えないはずだ。
同じような碑石は東北の海岸にはもっとあるのではないか?しかし、いずれも時間の経過とともに忘れられ、あるいは樹木に遮られて警告の意味を為さなくなってしまっているのではないか?今度の震災の記憶は、例えば市内にいざと言うときの避難場所をかねた記念防災館のような建物を建て、そこを色分けするなどしてわかり易く残すべきだとご提案したい。警告は世紀を超えて続けらねばならない。

失敗に関する研究は地道であるが未来を考える貴重なものである。

                        (株)アール・エム・アイ
                               江嵜 為丸