2012年3月6日火曜日

ディズニーの危機管理体制

3月2日京都商工会議所のイブニングセミナーは300名ほどの聴講者であふれた。
「ディズニーの危機管理体制」(JSパートナー㈱福島文二郎氏)というテーマに強い関心を持つ人が多かった。弊社は「リスクマネジメント研究所」を社名にしている。有益な講演を楽しみに3名参加した。

ディズニーの危機管理の原点、または基礎となる考え方は何か?というのが私の一番聞きたかったことであった。私が講演の中から受け取った答えは「従業員(キャストと言う)の働きがい(Job SatisfactionまたはEmployee Satisfaction)を作る」ということ。

自転車の例で図解すると、前輪部分がCS(Customer Satisfaction)、後輪部分がJS・ES。駆動部分は後輪にあり、車体は両輪がうまく回るように設計し運用される。
ハンドルはミッションでありCSとJS・ESが同じ方向になるようにする。

3.11その日、「ディズニーの危機管理体制」はどのように働いたのであろうか?
東京ディズニーランドでは、当日園内にいた多くの人たちに対し、キャスト(ほとんどの人がアルバイト)が行なったことが感動的として報道された。
怯える子供たちに売り物のぬいぐるみ人形を与えて、怖がらなくてよいと力づけたり、ビニールの袋に穴をあけて、簡単な雨カッパを作って提供したことなどが例示された。また、これらのことをディズニーランド全体で直ちに実施できたのは、日頃の内部教育によると言う事。重要な点は、これらの事は上の指示ではなくキャストの判断で行なえたと言う事である。

他の人に何かして喜んでもらおうという気持ちを持たせるには、教育、人事・福利厚生、コミュニケーション等のシステムの充実が必要で、時間と費用を掛けている事が感じられた。講演では踏み込んだ説明は少なかったが、ディズニーの危機管理体制維持のために、これらのシステムに関連したマニュアル類が整備されており、かつうまく機能しているということだ。

大事なのは、いざと言う時現場で対応が出来ることだと思う。いちいち上司や本社に連絡し、了承をとらないと出来ないというのは、危機状態では対応が遅れるだけである。3.11その日からしばらくの間、どれだけのことが対応できずに終わってしまったことだろう。
ディズニーの対応の実例は、平常時とは違うルールを持ってではなく、平常時でも非常時でも同じルールで対応出来ることの必要性を教えてくれている。

㈱アール・エム・アイ  江嵜 為丸