2012年9月24日月曜日

映画撮影用のフイルムがなくなる

先日、京都南座の前を通ったら、山田洋次監督のフイルム作品がかかっていた。
”全作品を大きな劇場空間で味わう最後のフイルム上映イベント“とあった。

9月に入って、富士フイルムが、映画撮影用のフイルムを来年(2013年)春に生産中止するというニュースが伝えられていたが、早速にかかるイベントを打ち出してくるというのだから、目先の利く人もいるものだ。

フイルムが無くなると、今度は映画のデジタル化が一層進む。弱小の映画館としては、大金を払って新しい機械を入れるか、または廃業するかという厳しい選択になるだろう。フイルム用撮影機材や映写機などもやがては消えていく。
その結果、古いフイルム映画は誰も見られなくなる(保存はされるだろうが)。
映画博物館のようなところが出来、そこだけで放映されようが、人が集まらなければやがて閉鎖ということになる。
逆にわずかだろうが、レトロ映画館として生き残れる映画館もあるかもしれない。
デジタル映画館についていえば、新しい機械を入れ続けられるところだけが生き残るだろう。

しかし、デジタル映画の将来に問題はないのだろうか?
かって、ビデオもβとVHSの闘いがあり、VHSが勝利し、我家にあった大量のβテープは再生機の生産終了とともに全部無用化した。そのVHSもCDに、そのCDもブルーレイに代替されつつある。やがてこれも再生機が無くなると無用化されることになろう。
使い捨てのものならともかく、文化として残しておきたいのならばこれで良いのだろうかと懸念する。

ただし、映画を長期保存するための特別フイルム(アーカイブ用フイルム)はまだ当分生産される由。これはETERNA-RDSといい、カラー画像を三色分解し、安定した黒白画像として保管する。このフイルムなら、100年の保存に耐えるらしい。

撮影・保存技術(ハード)の進歩も大事だが、それの活用技術(ソフト)開発も忘れないで欲しいものだ。
                                                                ㈱アール・エム・アイ  江嵜為丸